ピサの思い出!55mからAppleを落としたら…ガリレオもビックリする結果が待っていた!【後編】

ピサ イタリア

まだまだ暑い日が続きます…

こんにちは!アオテアロアです!
毎日、暑いですね…夏バテ対策はされていますか?
私は梅干しを食べています。

去年同様、梅干しを漬けました。塩がなじんで美味しくなるのには半年かかるそうですが、待ちきれずに一日一個、夏バテ防止に食べています。

梅干し

1年前は仕事もなく収入もなく、毎日が日曜日状態…
あの時は1年後の自分が学校で仕事をしているなんて想像もできませんでした。
人生って、何が起こるかわからないもんですね!

ふと、過去の私は何をしていたんだろう?と思い、撮りためた写真を振り返ってみたところ、10年前の2012年にある「人生初体験」をしていました。それは…気球に乗ること!トルコの添乗でカッパドキアへ行った時に、生まれて初めて気球に乗りました。

気球

憧れてはいたものの、実際に乗ってみると最初は落ちたりしないかと怖くて足がすくんでしまいましたが、人間いつか死ぬんだからビビっていてもしょうがないと気持ちを切り替えて、空からカッパドキアを楽しんだことを思い出しました。

私が乗った気球は女性パイロットさんで、気球パイロットという仕事に誇りを持ち、みんなの安全は私が保証するというのが表情に表れていたのが印象的でした。言葉の通じない外国人に目と表情と態度で自分の思いを示す…制服を着て背筋をビシッと伸ばしている姿がめっちゃカッコよかったです。

気球の女性パイロット

あの時のことを思い出したら、また何か新しい体験がしたくなりました(笑)
世の中にはまだまだ知らないことがいっぱいあるから、いくつになっても新しいことを始められます!
みなさんは最近始めた新しいことってありますか?

さて前編の続きですが…
いつものように、色々書くと長くなってしまって2回に分けて書きましたが…実話なのですが記憶があいまいなんです、何と言っても随分前のお話なので。よく覚えていないところはフィクションで加工修正しています。へぇ~そんな事があったんだ~と読んでもらえたらと思います。

前編をまだ読んでいない方は下記をクリック!

本題:天然ふわふわ母娘さん

数年前、イタリア周遊ツアーにある一組の母娘さんが参加されました。お母さんも娘さんも天然で、話し方もふわふわしていて優しい感じ、ひと言で表現するなら「わたあめ」みたいな母娘さんでした。

いつも穏やかでかわいらしい、なにか話せばにこにこ顔…これだけでも印象に残りますが、この母娘さんが私の記憶に残した「爪痕」はガリレオもビックリするような事件でした。

ピサへ向かう途中、車内でピサの話をした後に「ピサの斜塔に上りたい方?」と尋ねたら、全員が手を上げました。ピサに到着してから急いでチケット売り場へ行き、何とか無事に全員分のチケットをゲット!(予約をせずに当日、現地で全員分のチケットを買うのは、人数制限があるため非常に難しい…)
天然ふわふわ母娘さんも嬉しそうにチケットを握りしめて、入り口の列に並びました。

ピサの斜塔に上る時は、カメラ、携帯以外は専用ロッカーに荷物を預けなくてはいけません。中の螺旋階段は狭いので荷物があるとすれ違いも大変です。それに何と言っても傾いているので身軽な方が安全です。

現在は転落防止に金網フェンスが張ってありますが、昔は簡単な柵しかなく、一歩間違えれば転落しそうでした。あの「簡単な柵」が一層恐怖心をあおっていたので、金網フェンスが張られた時は、安心と同時にちょっと…いや、かなり、残念でした。

ピサの斜塔の柵※古いガイドブックより スカスカの柵で金網フェンスがない

天然ふわふわ母娘さん、上る前に「わたしたち、運動神経があんまり良くないんです…時間内にちゃんと上までのぼって下りてこられるか心配です」と声をかけてこられました。

母娘そろってきゃしゃな体、確かに体力があるとは思えない…「大丈夫ですよ!今までどんなお客様もちゃんと上まで行って時間内に下りてこられましたから!ムリせず自分たちのペースで上ってきてくださいね!」と笑顔で送りだしました。
二人はにっこりと笑って可愛く手を振ると、斜塔の中へと消えていきました。

ピサの斜塔

私たちが「ピサの斜塔」と呼んでいるものは、実は「鐘楼」です。塔のてっぺんに鐘が設置してあり、時計がない時代は、その鐘を鳴らして人々に時間などを知らせていました。「ピサの」と付けるのは、斜塔は他にもあるけれど「倒れそうで倒れない、絶妙なバランス」で建っている、世界でも珍しい斜塔なので「ピサの」という修飾語がつけられています。

斜塔の建設が始まったのは1174年、紆余曲折しながら約200年後の1372年に完成しました。高さ55m、円筒形で中には空洞があり、296段の螺旋階段をのぼって上まで行くことができます。

最初は順調に工事が進んでいましたが3層目ができた頃に南側へと地盤沈下が始まりました。この辺りはフィレンツェから流れてくるアルノ川が運んできた土砂が堆積したところで、もともと地盤が弱い場所でした。

当時の技術では地盤をまっすぐにすることも沈下を防ぐこともできず、工事は一時中断されてしまいました。その後、塔の中心をずらしてバランスを取りながら建て増しする方法で工事が再開されました。

ピサの斜塔※塔の足元を見ると地盤沈下がよくわかる

しかしまた地盤沈下が問題となり工事を中断、当初は100mの高さで建てる予定でしたが、塔の角度の修正が上手くできず、その他のバランスなども考慮して55mの高さに変更して工事が再開されました。

最上階層だけが地面に対して垂直になるようにして完成させたので、見た目のバランスは取れていますが、塔を東か西側からよ~く見ると、少しずつ中心がずれて塔が曲がっているのがわかります。

斜塔は最大で5.5度南に傾いていました。これを修正するために1990年、一般公開を中止して本格的な角度改修工事が行われました。約10年にも及ぶ改修工事は2001年に終了し、傾斜も約3.99度まで修正され、再び一般公開され現在に至っています。

ピサの斜塔と教会

なぜ傾いた地盤を水平にしなかったのか?なぜ傾斜3.99度で工事をやめてしまったのか?と思われた方、そこに「ピサの斜塔」たる所以があります。

斜塔は真っ直ぐ建てた塔が傾いたものではありません。建設途中で傾きのバランスを取るために「中心をずらして」建てているので、地盤を水平にすると中心がずれてしまい倒れる恐れがあります。

倒れずに「建ち続けるためのバランス」を保つのに丁度良い角度が3.99度だったのです。専門家の話では、この先200年は倒れないだろうとのことです。

塔の直径は約15メートル、白い大理石で建てられた斜塔の重さは14,453トン、斜塔の入り口まで来て基底部分を見るとその傾きが良くわかります。こんなに傾いた建物に、それもコンピュータなしで、よく上の部分を積み上げて完成させたなと感心させられます。

足元から見上げる斜塔は迫力があります。55mだと18階建てのビルくらいの高さでしょうか?

ピサの斜塔迫力写真

普通に考えれば18階建てのビルを階段で上ろうなんて思わないですが、このピサの斜塔だけは「特別」です。建設途中から地盤沈下対策のために歪んで建て増しされ、なおかつ絶妙なバランスで今もそこに建っています。こんなに珍しい建物はなかなかありません。だからみなさんも機会があればぜひ、上ってみて下さい!

当時は20分毎に40名の入場が可能でした。前のグループの人たちが下りてきてから次の予約グループを入れる入れ替え制でした。上での滞在時間を少しでも長く楽しみたいのなら、一番に塔に入って一気に駆け上がって一番に頂上へたどり着くこと。でも階段296段を駆け上がるのは容易ではありません。なぜなら「傾いている」からです。

階段のすり減り具合を見ると、どちらの方向に傾いているのかがよくわかります。そして自分の意志に反して、自然と傾いている方に体が引っ張られます。そんな不思議な感覚もピサの斜塔ならではの体験です。

この傾きが平衡バランスを狂わせ、頂上にたどり着く頃には目が回っているかのように足元がふらふら…まっすぐ歩こうとしてもちゃんと歩けているのかよくわからない状態です。それなのに目の前には「簡単な柵」しかなかったら、間違えて落ちそうで怖くて一歩も歩けなくなります。それもあってなのか?いつからか柵に加えて金網のフェンスが張られました。

Appleが落下…した事件

お客様が下りてくるまで時間が少しあったものの、心配そうにしていたふわふわ母娘さんのことが気になり、入口近くで待機していました。しばらくしたら血相を変えた人たちが、入り口からすごい勢いで飛び出してきました。見ればあのふわふわ母娘さん!私には目もくれず、一瞬にしてどこかへ走り去って行きました…(あんなに素早く動けるんだ!)

あれっ?でも、まだ時間たっぷりあるのになんで戻ってきたのだろう?途中で諦めたのかな??でも私に目もくれず消え去って行った…??何が起こったのかしばらく考え込んでいると、二人が戻ってきました。「どうしたのですか?上までいかなかったのですか?」二人は息を切らせながら顔を見合わせ、娘さんがひと言…

「携帯、落としたんですーーーーー!」

「どこで落としたんですか??」

「あそこから……」

娘さんが指が差す方へと、ゆっくりと視線を動かす…
「ま、まさか、あそこからですかーーーーー!」

…そこは斜塔の一番上!!!

「えーーーーーーーーーーー!!!」一瞬、言葉を失う。

この時ばかりは、ふわふわ母娘さんからは「ふわふわ」が消えて地に足がついていました。

※Apple落下の法則…

「落とした時、下に人はいませんでしたか?けが人はいませんでしたか?」
「はい、誰もいませんでした。そして携帯も見つかりました」

マンマ・ミーア~!!
55mの高さからダイブした携帯は…
画面バキバキ、電源入らず、一瞬にして壊れてしまいました…

「画面はひび割れたけど、バラバラにならずに原型をとどめているってすごいですよね」と母。
「私も完全にばらばらになって、部品があちこち飛び散っているかと思っていました」と娘。

ふたりは塔の上の方を見上げながら
「あの高さから落ちても粉々にこわれないなんて、やっぱり、iPhoneすごいね」

いろんな意味で予想を遥かに超えた、あまりにもショッキングな出来事に言葉を失ってしまいました…

この時、母娘って本当に似るんだなと感心しました。昔の人は「女性は母親に似るから、彼女の母親を見ればどんな嫁になるか想像できる」と言ったとか…納得。

それにしても、けが人がいなかったのは本当に奇跡です!
でも斜塔は世界遺産、このハプニングで建物に傷でも付けたら大変!
フィレンツェのドゥオーモに日本人が落書きした事件でも世界的ニュースになったのに!
あれこれ想像することすら恐怖です。

急いで3人で携帯が落下した付近を調べました。万が一、傷があったらどうするかを考えながら…幸い、携帯があたったような痕跡は見当たらず…ひょっとしたら芝生の上に落ちたのかも?真相は今も謎のままです。

3人の秘密の時間は長く感じたけれど多分、数分の出来事…

その後、続々とツアーの人たちが下りてきました。その日の夕食で「携帯落下事件」が話題になりました。普通の人なら、たとえ自分の不注意であったとしても、携帯が壊れてしまったことに相当ショックを受けるはずなのに、ふわふわ母娘さんは「iPhoneは衝撃に強いから絶対におすすめです!(←55mの高さから落下して壊れたけど、バラバラにならずに原型を留めていたから衝撃に強いという意味…)」とAppleの宣伝をしていたことが今でも忘れられません…

普通の人なら、もっとショックを受けたり、落ち込んだりすると思うのですが…ちなみに私の携帯も「衝撃に強い」iPhoneです(笑)

ピサ広場

落ち着いたところで、なぜ携帯を落としてしまったのか聞いてみました。すると「よく覚えていないんです…」どうも娘さんが内カメラで写真を撮ろうとした時に、誤って携帯が手から滑り落ち、落下してしまったとのこと…

私の記憶では、この時すでに金網が張ってあったと思うのですが…
もし、下の写真のような時だったら、柵から手を出して写真を撮ろうとして落としたか…
もしくは普通に撮っていたけど手から携帯が滑り落ち、傾きに合わせてコロコロ転がって柵の隙間を通り抜けて落ちたとか…

※今のような背丈より高い金網フェンスを張る前

どちらにしても、18階建てのビルから携帯を落としたのと同じことなので、これがどれだけの大事件だったかを想像していただければと思います。

Apple事件は忘れられない思い出のひとつ

携帯落下事件も、今では懐かしくて忘れられない思い出のひとつです。
あのガリレオもビックリするような「落下の法則」の実験?を現代で再現…不注意からの出来事とはいえ、本当に衝撃でした。あのふわふわ母娘さんは、斜塔からの景色を少しは楽しめたのでしょうか?

一説では、ガリレオが斜塔で「落下の法則」の実験をしたことはなく、後から弟子がガリレオの偉大さを伝えるために、このエピソードを付け足したとも言われています。

私はこの付け足し説は本当だと思います。なぜなら、鉄の玉をあの高さから落としたなら、大理石に落ちた時の傷が残っているはずです。ただ、当時の傾斜は今よりさらに2度ほど南に傾いていたので着地点は芝生だったかもしれませんが…

ピサのカフェ※疲れたら斜塔や教会が見えるカフェで休憩

海外旅行も再開され、個人で海外旅行を楽しんでいる方はいるみたいですが、ツアーの方はまだ難しいようです。コロナや戦争の状況が変わると、ツアーを出す条件も変わってくるので、まだまだ安定した状況とは言い難いです。

ただ、先日通りがかった旅行会社のパンフレットのラックに「海外旅行の予約受け付け中!」の張り紙と、海外ツアーのパンフレットが並んでいるのを見て、ツアー再開の扉が少し開いてきたのかなと感じました。旅行業界全体で見ると、10月頃から海外ツアーが再開するようです。海外旅行を心待ちにしている人は多いと思うので、たくさんツアーが出ればいいなと思います。

海外ツアーのパンフレットを手に取ってみたら、今までに見たことがないくらい薄くてペラペラでした。たとえツアー数は少なくても、必死の思いで企画したツアーをやっと世の中に送り出せたことは一歩前進!旅行会社の思いが詰まった「ツアー再開」のパンフレットに重みを感じました。

このパンフレットがまたいろんな国のツアーで彩られ、多くの人たちがまた海外旅行へ行ける日が来ることを願っています。私が次に海外へ行く時は、プライベートなのか、仕事なのか、どちらで行くかわかりませんが…海外へ行くことを想像するとワクワクします。やっぱり海外旅行が好きなんだなぁ!

イタリアへ行く予定がある方は、ぜひ斜塔に上ってきて下さい。階段は疲れるかもしれませんが、そこには歴史が詰まっています。そして一番上からの景色も素晴らしいです!

斜塔からの眺め※現在は背丈より高い金網フェンスが張られている

ドゥオーモの十字架の形をした屋根、丸い洗礼堂、ピサの街並み、澄んだ空気、遠くに連なる山々…ガリレオが見たであろう景色を、時空を超えて同じ場所で楽しむことができます。間違っても「携帯」を落とさないように気をつけて下さいね!実験結果は、ふわふわ母娘さんが既に実証してくれています(笑)

ピサ

ピサの斜塔は傾いているから「斜塔」であり、これを正しくまっすぐに建て直してしまったら、ただの「鐘楼」になってしまいます。

世の中にはピサの斜塔と同じように、みんなと違うからこそ注目されるものがたくさんあります。そういうものが、みなさんの身近にもあるかもしれません。もし、そんな面白い「なにか」を発見したら、ぜひ、教えてください!ブログのネタにしますので(笑)

※インスタにアップしていないひまわり(イタリアかスペイン)

まだまだ毎日暑いですが、夏バテ防止に梅干しを食べて、この暑い夏を乗り切っていきましょう!
(^^)

最近はあまり更新をしていませんが、インスタグラムにも海外の写真をたくさんアップしています。
良かったらぜひ、見てください!

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