世界一美しい星空!南十字星が輝く星空と有名なマヌカハニー【後編】

流れ星1個 ニュージーランド

世界最南端にある「Mt.John天文台」宇宙の謎の解明に挑む!

みなさん、こんにちは!アオテアロアです!

前編ではマヌカハニーとMt.John(マウントジョン)天文台のハイキングをご紹介しましたが、後編では「世界一美しい星空」と言われるテカポの星空を紹介したいと思います。

※本日のお花…

テカポは人口約400人の小さな町です。もし何もないただの小さな町だったら…車で通り過ぎて終わり…です。でもテカポには多くの人を魅了する「美しいテカポ湖」と「満天の星空」があります。

※美しいテカポ湖のお話はこちら!

今回、お話しするマウントジョン天文台から見る星空は「世界一美しい星空」としても有名です!

世界最南端に位置する天文台として有名なマウントジョン天文台は、1960年代にニュージーランドとアメリカのペンシルベニア大学との共同で、最初の天文台がつくられました。

アメリカが撤退した後、1996年に「MOAプロジェクト」という天体観測のための日本とニュージーランド共同のプロジェクトが立ち上げられ、2004年には名古屋大学がニュージーランドで最大の望遠鏡を完成させて、宇宙の謎を解明すべく天体観測が行われています。

マウントジョン天文台

マウントジョンが天体観測場所に選ばれた理由はいろいろあります。

自然環境が保たれているので空気が澄んでいる、観測の妨げになる湿度が低い、周辺に町や村がないので人工的な明かりがほとんどない晴天率が高いなど…

また北半球では見られない「銀河の中心」や大小マゼラン雲などが見え、冬の間は14時間連続で観測が可能…と、天体観測に必要な条件が全て揃っています。

そんな夜のマウントジョン天文台へは「星空ツアー」でしか行くことができないです。

現在も毎晩、観測が行われている研究機関のため、夜間は一般車両通行止めで入ることができません。一般に公開されている時間は、夏は9時~18時、冬は10時~17時までです。

では、さっそく、星空ツアーへ行ってみましょう!でもその前に…ツアーの予約が必要です。

日本語ガイドが楽しく星の解説をしてくれる「Dark Sky Project ダークスカイ プロジェクト」のツアーがおすすめです!(旧アース&スカイ)

当日の天気が気になるものの、あまりギリギリに申し込むと満席で予約ができない事が多いので、行く日が決まったら早急に予約することをおすすめします。

※「マウントジョン天文台」と「コーワンズ天文台」のコースがあります。紹介している世界一美しい星空は「マウントジョン天文台」ですので、お申し込みの際はお間違えなく…

テカポ湖周辺でも十分キレイな星空だけど…ここまで来たらMt.John天文台へ!

【前編】でハイキングやプールのお話をしましたが、夜に星空ツアーへ行くのなら、その分の体力を残しておいてください。季節により、星空ツアーの出発時間が違うので予約の時に確認してほしいのですが、とても遅い時間にスタートすることもあります。

今回このブログに乗せている星空の写真は、2018年3月と2020年1月の写真です。
どちらもツアーに組み込まれていたので、日本出発前から既に旅行会社の方で予約がされていました。

2年前は何時にホテルを出たか覚えていませんが…今年の1月に行った時は夜中1時頃出発の「2回目」のツアーでした。人が多い時は2回に分けて星空ツアーを行っています。

出発が夜中1時と聞いた時、できれば1回目の22時出発のツアーに変更してほしいとお願いしました。なぜなら翌日モーニングコール5:30と早いのに、星空ツアーから戻ってくるのが3:30頃…寝られる時間がたったの2時間!でも、結果的には「2回目」で良かったです。

前日からオーストラリアの山火事の煙で空も星も見えなかったのですが、夕方から空が見え始め、日付が変わる頃には煙が消えたのです!出発が遅かった分、よりキレイな星空を観ることができました!

テカポの空※2020年1月、星空ツアーへ行く日の夕方の空

同じ日でも数時間で空の状況が変わることもあります。もう、これは「運」です!今回のようなこともあるので、遅い時間の星空ツアーでも予約が取れればラッキー!と思いましょう。

テカポ湖周辺で明かりのない所へ行けば、そこでも十分キレイな星空を楽しめます。でもここまで来たら、ぜひマウントジョン天文台で星空を観てきてください!この星空を見た時の感動は一生ものです!

ニュージーランド南島の夜は冷え込みます。夏でも長袖やカーディガン、ウィンドブレーカーなどが必要です。星空ツアーの時に防寒着も借りられます。長袖を着込んだ上に防寒着を着てちょうど良いくらいです。

ペッパーズブルーウォーターリゾートとゴッドレーホテルへは送迎してくれます。その他のホテルは、各自で「Dark Sky Project ダークスカイ プロジェクト」のオフィスに集合し、注意事項の説明を聞いた後、借りた防寒具を着用してマウントジョン天文台までバスで移動します。

日本から持っていく懐中電灯は明る過ぎて天体観測研究の妨げになるため使えません。その代わりに足元を照らすための小さな懐中電灯(赤いライト)を配ってくれます。お土産として持ち帰ることができます。

バスに乗って15分くらいでマウントジョン天文台に到着します。移動中バスの中からもキレイな星空を観ることができます。

バスを降りるとガイドさん誘導のもと少し広いところまで移動し、配られたホットチョコレートを飲みながら注意事項などを聞きます。

大抵はプロのカメラマンが同行しているので、手持ちのカメラを預けると見学中に星の写真を撮ってくれます。アップしている星空の集合写真もカメラマンが撮ってくれたもので、後日ネットでアクセスして無料でデジタル写真を受け取れます。暗い中での撮影はとても難しいので、こういうサービスは本当に有難いです!

カメラも預けて集合写真も終わったら、いよいよ待ちにまった星の鑑賞です!

夜空に散りばめられた輝く宝石!こぼれ落ちそうな星空の中で宇宙を体感!

さっそくガイドさんがレーザーポインターを使っていろいろ案内してくれます。

1等星、2等星…いろんな星座や天の川…
時間が経つにつれて目が慣れてくると、どんどん星が見えてきます。

知っている星もここで見るとちょっと違う感じに…それもそのはず、南半球で見る星北半球で見る星を逆さにした状態で見えるのです!月の中の模様も!もし、いつもの北半球の星空を見たかったら股のぞきしてみてください(笑)

大きな望遠鏡も用意されていて、肉眼で見えない宇宙の星を観ることもできます!

真っ暗闇でこぼれ落ちてきそうな星空の中、銀河系を覗き見したら本当に宇宙にいるような感覚になります!

じっと星空を眺めていると時々「流れ星」が流れます!流れ星を見つけても「あ、流れ星!」と叫んで終わり…願い事をいう時間なんてないです(笑)

どこまでも美しい星空に包みこまれていると時間の感覚がなくなり、星空に溶け込んで「宇宙の星のひとつ」になったような感覚になります…
「自分」という存在は、宇宙の中では本当にちっぽけな存在だな…って思うのと同時に「悠久のロマン」も感じます。

みなさんは星座がどうやって誕生したかご存知ですか?

今から5,000年以上前のメソポタミア地方で、星座が誕生したと言われています。
当時の人々も夜空を見上げながら、星と星をつないで自分たちが信仰している神様や動物などの姿を夜空のキャンパスに描きました。

毎晩星を見ていると、季節の移り変わりとともに星座も変わり、ちょうど1年でひと回りすることに気が付きます。そこから星を観察しながら種まきや収穫の時期などを決めるようになりました。これが後の暦へと繋がっていきます。

その後、星座は古代ギリシャへ伝えられ、ギリシャ人たちは自分たちの間に伝わる神話や伝説を星座と結び付けて様々な物語を作り、ギリシャ神話が誕生しました。
また、星を見て方角がわかることも発見し、船乗りが海を渡る時の道しるべにもなりました。

1928年それまで世界中にたくさんあった星座を、国際天文学連合が世界共通の「全天88星座」にまとめました。

流れ星3個※2020年1月2日(日付が変わって1/3)撮影

この写真にも南十字星が写っています。流れ星が3つも!
南半球でしか見られない「南十字星」と「3つの流れ星」を見つけることはできましたでしょうか?

実は「南十字星」という星はなく、正確には「南十字座」になります。このたくさんの星の中から、南十字星を見つけるコツがあります!

まず南の方向にひときわ輝く「ポインター」と呼ばれる2つの星(ケンタウルス座のαアルファ星とβベータ星)を探してください。そのポインターの幅と同じ距離を2倍にしたところにあるのが南十字星です!(正解の写真は一番最後に!)

ニュージーランド旅行中、星がキレイに見える場所なら「南十字星」はテカポ以外の場所でも見られます。目印になる「ポインター」を覚えておくと、南半球に来た時にいつでも自分で南十字星を探すことができます!

「世界一美しい星空」を世界遺産へ!町全体で守る星空と、ひとりの日本人

テカポは美しい星空を「世界遺産に登録しよう」と声をあげた初めての町です。

星空を世界遺産にしようというアイデアを提案したのは、実はある「ひとりの日本人」です。テカポの星空に魅了され移住し、ここで星空ツアーの会社を立ち上げた小沢英之さんです。

会社を立ち上げた当時「星空をビジネスにするアイデア」は、当たり前のように星空を見ていたテカポの人たちには思いもつかないことでした。でもこの星空ビジネスは年間1万人もの人が参加する人気ツアーになりました。

流れ星1個※2018年3月の写真

2000年、テカポに再開発計画の波が押し寄せ、商業地と住宅地を大きく広げる計画が持ち上がりました。開発が進むとこの美しい星空が失われてしまうことが目に見えています。何とかしてこの星空を守れないものか…と考えた小沢さんが思いついたことが「星空を世界遺産に登録」することでした。

しかし世界遺産には「星空」を登録する分野がないため、現在はまだ申請中…のままです。ただ、新しい枠を作って「星空」を世界遺産にしてもいいのでは?という意見もあり、この先には登録もありうるかも知れません。

テカポの住民の間ではいろんな意見があり、世界遺産に登録して星空を守りたい人や、ニュージーランドでも指折りの観光地になったテカポにホテルや商業施設をつくって町の経済を活性化したい人もいて、この先テカポがどうなるのかは住民に委ねられています

ただひとつだけはっきりと言えることは、ひとりの日本人の呼びかけにより「当たり前の星空」だと思っていた星空が、当たり前のものではなく、自分たちが意識して守っていかなければ残すことができない「貴重な星空」だということに、テカポの人たちが気付いたことです。

世界遺産には登録されていないものの、テカポを含むアオラキ・マッケンジー地区は、2012年に国際ダークスカイ協会により「星空保護区」に認定されました。

星空保護区とは国際ダークスカイ協会が認める「光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える」制度です。
ちなみに日本では、2018年に沖縄県の西表石垣国立公園の星空が「星空保護区」に認定されました。

テカポは星空保護区の中でも、たった3か所しか選ばれていない「星空金賞(Gold Tier)」に選ばれています。(あとの2つはナミビアのナミブランド自然保護区とアイルランドのアイベラ半島)

町の人たちも星空を守るためにいろんな取り組みをしています。
例えば町の街頭などには光を拡散しないナトリウム灯を使い、電球を地面に向けて取り付け、さらに「傘」をかぶせて光が空へ行かないように工夫したり、夜になると住民たちは窓のカーテンを閉めて家の明かりが外に漏れないようにしたり…

「星空」と「自分たちの生活」の両方を守る最善の方法を模索しながら、地道な努力をしています。

よくポストカードやパンフレットに使われる「良き羊飼いの教会」と「星空」の写真がありますが、この写真を撮るために夜になると教会周辺に人がたくさん集まります。写真は自由に撮れますが、テカポの人たちと同じように「光害」を出さないように気を付けながら星空を楽しんでいただけたらと思います。

最後に「南十字星」と「3つの流れ星」の答えです!

写真の「流れ星」になら、ゆっくりと心ゆくまで願い事ができます(笑)
みなさんも好きな願い事を「3つ」してみてください、きっと願いが叶います
私の願い事は…また海外旅行を楽しめる日が早く来ますように…✖3回!

【世界一美しい星空!…前編】はこちら!

インスタグラムにもたくさん写真があります。
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コメント

  1. HASHIMOTO RUMI より:

    今日のお花はセキチク。ナデシコ科です。
    美しい夜空。テカポの天体ツアー行きたいです。前は満席で行けませんでした。お留守番した、ホテルからでも素晴らしい星空でしたが、、。ニュージーランドまた行きたいです。

    • aotearoa aotearoa より:

      お花の名前、ありがとうございます!何でも物知りですね!やっぱりいろんな本を読んだり調べたりしているからですね!
      そうなんです…満席になってしまうんです、星空ツアー…行ってもお天気次第で必ず見られる訳じゃないところが「運」ですよね…
      スイスの山とは相性イマイチだけど、NZではだいたいお天気◎です!本当にまたNZへ行きたいですね…

  2. pocoapoco より:

    星空があまりにきれいで写真だけで魅了されました。夜出かけるのは大変そうですが星空ツアーも行ってみたいです。星空保護区になってよかったですね。星空チャートの答えありがとうございます。わかりやすいチャートで参考になりました。

    • aotearoa aotearoa より:

      ぜひ星空を観にNZへ!今は海外へ行けないので、日本のどこか近場でもいいと思います。星空はただ観ているだけでも楽しいです!
      NZのウエリントンへ行った時に、二泊三日の野外学習で郊外に泊まった時もキレイな星空でした!
      星ガイドさんがいなくても、自分で南十字星を見つけられて嬉しかったです!