かつては大帝国!ハプスブルク家の栄華が残るオーストリア
みなさん、こんにちは!アオテアロアです!
とうとう日本全国に緊急事態宣言が…諸外国のロックダウン延長のニュースも流れ、まだまだ外出自粛が続きます…
こんな時こそ断捨離をしよう!と、はりきって片付けていたら…塩が出てきました(笑)
この塩、ただの塩ではないのです。なんと、料理をおいしくする「魔法の塩」なんです!
※塩の産地、ザルツカンマーグート
信じてもらえないかもしれませんが「普通の」野菜炒め→「ものすご~く美味しい」野菜炒め!になるくらい、一度使ったらやめられないです!
この魔法のような岩塩を手に入れたのはオーストリア、モーツアルトが生まれた町として有名なザルツブルクです。
※ザルツブルク
初めてこの岩塩を使った時「塩だけで料理がこんなに美味しくなるなんて!」と感動したことを覚えています。それ以来、国内でも海外でも美味しそうな塩を見かけると、つい買ってしまいます。
今回、ご紹介するオーストリアは日本から約9200km、成田からは直行便が飛んでいるものの、それ以外の空港からは乗り継ぎが必要です。
正式名称はオーストリア共和国、ヨーロッパのほぼ中央にあり、なんと8ヵ国と国境を接しています。
ドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、イタリア、スイス、リヒテンシュタイン…
※参照:google map
面積は約8万4000km2、北海道とほぼ同じ広さです。人口は約880万人、首都は音楽の都として有名なウィーン、約9割がゲルマン系民族で、公用語はドイツ語です。
オーストリアと言えばハプスブルク家です!
運命のいたずらか?もとはスイスの一豪族でしかなかったハプスブルク家のルドルフ1世が13世紀に神聖ローマ帝国皇帝に即位したことで歴史上にその名前が登場、その後数代続いたものの一時は歴史から姿を消し、15世紀にまた盛り返してからは1918年カール1世が退位するまでの約650年間、ハプスブルク家の歴史は続きました。
※シェーンブルン宮殿
<ハプスブルク家の家訓>
「戦争は他の者にまかせておくがいい、幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし」
この家訓に従って政略結婚を重ねていった結果、現在のオーストリア、ドイツ、ハンガリー、ベルギー、オランダ、チェコ、ポーランド、ルーマニア、イタリア、スペイン、ポルトガル、ブラジル、メキシコ…など、世界地図を見てもわかるように、広大な領地を手に入れました。しかし現在は北海道ほどの面積まで小さくなりました。
そんな歴史のあるハプスブルク家ゆかりの地はたくさんありますので、また少しずつ記事にしたいと思います。
今回、ご紹介するのは「一度はゆっくり訪れてみたい…」と思いながらも、いつも少しだけしか滞在しない、美しすぎる風景で有名な町「ハルシュタット」です。
ザルツカンマーグートという湖水地方にある町で、アクセスが大変なものの、近年はたくさんの観光客で賑わっています。
風光明媚な湖水地方、ザルツカンマーグートと岩塩
ザルツカンマーグート地方は、オーバーエスターライヒ州、ザルツブルク州、シュタイアーマルク州にまたがる地方で、美しい湖と山々が連なる風光明媚なところです。
アルプスの渓谷に広がる風景は、有名な映画「サウンド・オブ・ミュージック」にも登場するので、見たことがある方も多いかと思います。
ザルツ=塩、カンマー=王室(ハプスブルグ家)、グート=良い、献上する、これを合わせてよく「塩の御料地」と訳されます。かつてはオーストリア帝国の直轄地でした。
塩は人が生きていくためには絶対に必要なものです。
冷蔵庫などがなかった時代は、肉や魚を長期保存するために塩は欠かせないもので、昔からとても貴重なものでした。
ローマ帝国時代でも塩はとても価値があり、兵士たちに給料の代わりに塩を渡すこともありました。このことから、塩=sal(ラテン語)が変化してサラリーの語源になったと言われています。
15世紀からはハプスブルク家の直轄に置かれ「白い黄金」と呼ばれた塩はハプスブルク家の大事な財源でした。
でもなぜ、海に面していないヨーロッパの真ん中にあるオーストリアで塩が採れるのでしょうか?
実は約2億5千年前、この辺りは海でした!
度重なる地殻変動により大地が隆起し谷間に海が残りました。長い年月をかけて海は干上がり地表に塩の層ができ、その後さらに起こった地殻変動により塩の層は崩れた岩や山などと一緒に大地に埋もれていき、地中深くに閉じ込められていきました。
その後、長い年月が過ぎ、山から染み出す水に塩が含まれることを知った人々が岩塩の採掘を始め…それもなんと、7,000年も前から塩を採ろうとしていた痕跡があるそうです!
考古学者もビックリ!驚きの歴史的発見「ハルシュタット文化」
1846年、ハルシュタットの岩塩坑近くで古代の墓地が発見されました。
発見のきっかけになったのは、地元民の話に興味を持った塩山監督官ヨハン・ラムサファーが発掘に乗りだしたことでした。
地元民の話によると…
昔から塩山では、大雨が降ったり、強風が吹き荒れて雪がどっと解けたりした直後、山の斜面に不思議なものが現れることがあった…
青銅製の装身具のようなものや、美しい色をした宝石のような石、玉虫色に輝く小さなガラス玉の破片などで、その辺に転がっていたり、地面から顔をのぞかせたりして不思議な光景だった…
なぜ…?どこから…?どうやって?
誰もこの不思議なものがどこから現れるのかわからない、見つけた者はそれらを持ち返って部屋に置いたり、若い男性は糸を通して首飾りにして好きな女性にプレゼントしたりした…というものでした。
ヨハン・ラムサファーは塩山に勤める役人でしたが、この話に興味を持ち、独自に調査を始めました。
その結果、山の斜面や谷間に大小さまざまな自然石を丸い輪の形に並べたものを、たくさん見つけました。それがとても古い時代の墓であることや、比較的浅い地層にまだたくさんあること、不思議なものの正体がそれらの墓の副葬品であることがわかりました。
最初の発見から1863年までの17年間になんと、約980の墓と約2万点の出土物が発見されました。彼の下で坑夫長をしていたイシドール・エングルが、出土品を精密な水彩画にして残しました。
この水彩画は現代の学者が研究資料として使えるほど見事なものでした。
塩の採掘は紀元前800年~400年頃に黄金期を迎え、発掘された装飾品はこの時代の物がほとんどですが、古い青銅器や鉄器は紀元前1200年頃から紀元前500年頃のものと判明し、古くから高度な文化が栄えていたことがわかりました。
独特のデザインやモチーフによる出土品は、ヨーロッパの広範囲に分布しているものの、ここで見つかった装飾品の数の多さ、また重要な塩の交易地として、ケルト文化の中心地として繁栄したことなどから、この土地の名前をとって「ハルシュタット文化」と名付けられました。
現在たくさんの出土品は、ハルシュタット博物館やいろんなところで展示されています。
「世界の湖岸で最も美しい町、ハルシュタット」と納骨堂
ハルシュタットは「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として1997年に世界遺産に登録されました。
オーストリアに10ある世界遺産の中で一番人気の場所です!
ザルツカンマーグート地方には76の湖がありますが、その中でも有名なのがダッハシュタイン山塊の北側にあるハルシュタット湖です。
湖沿いに広がる小さな町と、澄んだ湖と美しい山々がひとつになり「世界の湖岸で最も美しい町」と呼ばれています。
ハルシュタットはハル=塩(ケルト語)シュタット=場所(ドイツ語)が合わさってできた言葉で、文字通り「塩」がこの町を繁栄させました。
※駐車場より
メインストリートは湖畔沿いの一本だけ…
あとは斜面に建てられた家やホテルなどが点々と並び、町にある2つの教会が目印のように建っています。
まずはポストカードやパンフレットにもよく使われている撮影ポイントまで直行しましょう!
私はいつもバスでしか行ったことがないのですが…
バスの駐車場から撮影ポイントまではスタスタ歩いて約20分です!
※メインストリートのお店
メインストリートを進むと、町の中心のマルクト広場と石造りのプロテスタント教会が見えてきます。
※マルクト広場
奥の丘の上にはカトリック教会が見えます。
そこをさらに通過してまっすぐ進むとトンネルがでてきます。
トンネルをくぐって道なりに湖畔沿いのゆるやかな坂を上って少し進むと、撮影ポイントに到着します!
※夏の風景
ここからの眺めは絶景です!!!
※冬の風景
初めてこの景色を見た時に「わぁ、なんてきれいなの!!」と本当に感動しました!
石造りの教会、湖、山…
これは先日紹介したニュージーランドのテカポ湖の風景と同じ要素では??
「大自然」の中に「人間が作ったも」のが「少し」だけ入ると、何気ない自然の風景が「絵」になるのかもしれないです…
※ニュージーランド テカポ湖
ハルシュタットの風景のアクセントになるのが、湖畔沿いに建つ白い石作りのプロテスタント教会です。この教会が美しい風景をさらに引き立てます!プロテスタント教会なので内装がシンプルです(中の写真がなくてごめんなさい)
でも撮影ポイントまで来たら、丘の上に建つカトリック教会へも足を運んでください!カトリック教会の特徴のひとつは、芸術的な絵画や彫刻、ステンドグラスなどの装飾で、聖人や聖書の物語を表現しているところです。(ここも写真なくてごめんなさい)
そしてこの教会の横には墓地があり、同じ敷地にバインハウスと呼ばれる12世紀に建てられた納骨堂があります。
寄付代わりの入場料を払って中を見学できます。中は狭いですが、約1200の人骨が納められています。
ハルシュタットは傾斜が多く十分な墓地を確保できなくなり、古い墓を掘り起こして場所をあけ、そこに新しい遺体を埋葬し、また10-20年ぐらいたったら掘り起こして…という作業を繰り返して、墓地を確保してきました。掘り起こした頭蓋骨にはいろんな模様がペイントされ、納骨堂に納めるようになりました。
入場料を払う時に「ジャパニーズ」と言えば、日本語の案内文を見せてくれます。
現在は納骨希望と遺書に明記されない限り、頭蓋骨を納めることができないそうです。最近では火葬も多く、最後にここに納骨されたのは1995年とのことです。
「魔法の塩」は岩塩だけじゃない!天然の塩を探して!
美しい風景と教会を楽しんだら、名物マス料理を味わってみてください!
臭みもなく身も柔らくて美味しいです!
あとは忘れずにお土産の岩塩を購入!
ハーブ入りやガーリック入りなど種類も豊富、バスソルトや石鹸など、塩グッズがたくさんあります。
私が「魔法の塩」と呼んでいる岩塩は、ザルツブルクの旧市街にある塩専門店で購入したものです。ザルツカンマーグート地方は岩塩の産地として有名なので、美味しい岩塩はザルツブルクでも手に入ります!
このお店に置いてある塩チョコレートは、塩が上品な甘さを引き出してとても美味しく、日本では倍くらいの値段で売られているそうです。ここの塩はよく売れていて回転も早いので、ハルシュタットへ行く時でもザルツブルクでまとめて買うことが多いです。
※ハルシュタットのメインストリートにあるお店
オーストリアまで岩塩を買いに行けない方、今はネットで探せば買えるかもしれません!
でも、そこまでしなくても、今度スーパーで塩を買うときに、ちょっと気を付けるだけで美味しい塩を手に入れることがます!
塩には精製塩、再生加工塩、天然塩があります。
精製塩は成分の99%以上が塩化ナトリウムで塩味が強い塩で、再生加工塩は海外で精製された輸入塩を海水に浸し、にがりやミネラルを加えて人工的に成分を調整した塩です。
天然塩はやわらかい塩味の中に甘みや旨みなどが感じられ、ミネラルが豊富に含まれていて体にとても優しい塩です。
採れる場所や製法により味が変わるものの、日本国内でも手間暇かけた美味しい塩はたくさん作られています。
「天然」という言葉が多くの意味を含むので「天然塩」という表示ができないそうですが、裏の成分表を見ると精製塩か天然塩かわかりますので、次回の塩の購入時には一度チェックしてみて下さい!
塩は毎日使うものなので、いくらあっても困らないし、外国の塩はなかなか手に入らないのでお土産に喜ばれます!
日本は島国なので岩塩が採れず塩は海水から作りますが、ヨーロッパは岩塩の方が主流です。
※塩湖
ハルシュタットで人気の観光に塩坑ツアーがあります。
岩塩を掘っていた地底深くを見学することができ、なんと!坑夫たちが使っていた全長65mの木造滑り台を体験できます!かなりスピードが出るのでスリル満点!大人気アトラクションです!まだ見学したことがないので、いつか行ってみたいです!
最後に、あまり知られていない歴史的な実話を…
ザルツカンマーグート地方の見所は、ハルシュタットだけではありません!
もしゆっくり時間が取れるなら、点在する湖やかわいい村や町を訪れたり、ハイキングをしたり、船で湖上クルーズを楽しんだり、ザルツブルクの町をはじめとする、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台を巡ったり…いろいろ楽しめます!
最後に、家にいて退屈している方、おうちシアターでいろんなDVD鑑賞をしているかと思いますが、オーストリアへ行った気分になれる「サウンドオブミュージック」だけではなく、あのジョージクルーニーが監督、脚本、製作、主演を務めた映画「ミケランジェロ・プロジェクト」も観てみて下さい。
第二次世界大戦中の実話を元に映画化した作品です…
ナチスドイツが戦渦で略奪した歴史的に重要な美術品約1万点を、ハルシュタットから遠くないアルトアウスゼー岩塩坑に隠しました!
敗戦して敵に渡すくらいなら…と、ナチス軍は坑道ごと美術品を爆破しようとしました。しかし坑夫たちの命がけの活躍で爆破を食い止め、たくさんの芸術作品が守られました。
あまり知られていない実話ですが、この坑夫たちの活躍がなければ、日本でも人気があるフェルメールの「真珠の耳飾り」も現在まで残っていません…
この話に感動したジョージクルーニーは自らメガホンをとって映画を作製しました。(映画の評価は人によってわかれますが…)
また海外旅行へ行けるようになったら、夏の旅行でぜひ、ハルシュタットとザルツカンマーグート地方を訪れてみてください!
美しい風景と澄んだ空気に心も身体も清められて、サウンドオブミュージックの映画のように、きっと歌って踊りたくなります!(^^♪
インスタグラムにもたくさん写真があります!
アオテアロアのインスタグラム→こちら
コメント
ハルシュタットの歴史からお土産、撮影ポイントまで旅を楽しむポイントが
満載で充実してました。次回機会があったら、ゆっくり写真を撮って、教会をみて、塩も忘れずに買ってこようと思います。
pocoapocoさんの最初の投稿、偶然のハルシュタットでしたね!同じ場所を訪れていたなんて、ひょっとしたら現地ですれ違っていたかも!
行った時はブログをしようとか思っていなかったので、欲しい写真が撮れてなくて残念です。自覚はないですが歴史好きかも?
お塩はぜひ!本当に料理が美味しくなります!
オーストリアのハーブ塩はサラダに使うと最高に美味しくなりますね。関西では限られたお店しか買えません。綺麗な風景を拝見でき、楽しいGWになりました。
日本でも買えるんですか!なくなったら買いに行きます!ハルシュタットの湖と山は、本当に美しいです!